シンセの解説を読んで、「カットオフは高い周波数を削る」と覚える。ここまでは、たいていの人ができます。問題はその先で、実際に曲の中でノブを回したとき、どこまで回せばいいのか分からない。プリセットを選ぶところから抜け出せないのは、知識が足りないからではなく、音の変化と操作が結びついていないからです。

その一点に絞って開発した学習アプリ 「Synth Brain:シンセ音作りアプリ」 を、App Storeで公開しました。

App Storeで見る(2,500円・買い切り) | 製品ページ:Synth Brain

📌 Synth Brainの3行まとめ
理解(図解)→ 操作(実習)→ 耳(クイズ) の3ステップを、全カリキュラムで繰り返す
② 出題音はすべてアプリ内蔵シンセのオフラインレンダリングで生成。同じ音源で聴いて、同じ音源で作る
③ 実習は目標値との対数距離で採点。概念ごとの習熟度を追跡し、合格するまで次へ進めない

「読んで分かった」を、そこで止めない

Synth Brainのすべてのレッスンは、同じ形をしています。

段階内容
図解信号の流れとパラメータの役割を、1画面の概念図で示す
用語日本語の役割 → 正式用語 → 画面ラベルの順に導入する
A/B比較音量差と音色差を分けて聴く。何が変わったかを1要素に絞る
実習内蔵シンセのノブを動かし、提示された目標の音へ近づける
耳のクイズ明るさ、立ち上がり、うなり、変調などを聴き分ける

順番には理由があります。用語から入ると、言葉を覚えただけで理解した気になる。そこで最初に「この部分は音の何を決めているのか」という役割を日本語で示し、そのあとにCutoffやResonanceといった正式名称、最後に画面上のラベルへ紐づけます。

A/B比較を音量差と音色差に分けているのも同じ理由です。フィルターを開くと音は明るくなりますが、同時に大きくもなります。音量が変わったのを「明るくなった」と誤解するのは、耳の訓練の初期にいちばん起きやすい取り違えです。

出題音は、すべて内蔵シンセで生成する

Synth Brainには、外部の音源ライブラリもサンプル素材も入っていません。教材の音、目標の音、クイズの出題音は、すべてアプリ内蔵のシンセをオフラインレンダリングして生成しています。

これはファイルサイズの都合ではなく、学習の一貫性のためです。クイズで聴いた音と、実習で自分が作る音が同じ音源から出るので、「聴いた音は作れるはずの音」になります。別の音源で作られた見本を目標にすると、どこまで近づけば正解なのかが原理的に分からなくなります。

音源は純Swiftの自作DSPです。

  • 2オシレーター(polyBLEP)+サブオシレーター+ノイズ
  • TPT-SVFマルチモードフィルター(LP12 / LP24 / HP / BP)
  • Amp / Filterの2系統ADSR、2 LFO、モジュレーションマトリクス
  • 2オペFM、リングモジュレーション、ハードシンク
  • コーラス、ディレイ、リバーブ、ドライブ、リミッター

リアルタイム演奏(タッチ鍵盤)とオフラインレンダリングは同じDSPを共有します。だから、教材の音と自分が鳴らす音がずれません。

採点は「合っている / 間違っている」で終わらせない

実習の採点には、目標値との対数距離を使います。

score = 100 × max(0, 1 − |ln(u/t)| / ln(tolerance))

u が入力値、t が目標値です。周波数や時間のパラメータは、人間の知覚が対数的なので、線形の差分で採点すると実感と合いません。カットオフ200Hzと400Hzの差と、2000Hzと2200Hzの差は、耳には別物です。

モジュレーション経路の設定は、さらに分解して採点します。

採点項目配点
Source(変調元)30
Destination(変調先)30
極性15
Amount(量)20
Rate(速さ)5

LFOをフィルターに送るのか、ピッチに送るのか。プラス方向かマイナス方向か。どこを間違えたのかが点数の内訳で分かるようにしています。ヒントを使った場合は0.65〜1.00の係数で減点し、使わずに解けたかどうかも区別します。

進み方を、点数で制御する

Synth Brainにはゲートがあります。解説ページの理解確認を終え、実習のあるモジュールでは所定の点数(既定70点、モジュールごとの合格点)に達するまで、耳テストが開かれません。ゲートテストの合格ラインは80点で、終了するまで正解を開示しません。

前のモジュールに合格すると次が開きます(設定ですべて開放することもできます)。概念ごとの習熟度は指数移動平均で追跡します。

new = 0.75 × old + 0.25 × score

一度たまたま高得点を取っても習熟度は跳ね上がらず、繰り返し正解して初めて上がる重み付けです。

出題は問題テンプレートとシードから決定論的に生成(SplitMix64)します。同じシードなら同じ問題が出るため、復習で同じ課題に戻れます。

💡 不正解のときに何を見せるか
間違えたとき、Synth Brainは正解だけを表示しません。比較試聴と、該当レッスンへ1タップで戻る導線を出します。「なぜ間違えたか」を音で確かめられないと、次も同じ間違いをするからです。

カリキュラムの構成

ステージ0から11までの12段階と、上級のエクストラカリキュラムで構成しています。

ステージ内容
0 じゅんび音の三要素、A/B比較、シンセの地図
1 音の通り道Init音出し、ブロックの役割、音量とクリッピング
2 波形サイン / ノコギリ / 矩形 / 三角、パルス幅、ノイズ
3 Amp Envelopeアタック、リリース、ディケイ / サステイン、ADSR
4 フィルターLP、カットオフ、レゾナンス、HP、BP
5 Filter Envelope音色の輪郭、Env Amountの正負、作り分け
6 音高・デチューンオクターブ、ファイン、ユニゾン、位相
7 LFOとモジュレーションSource / Dest / Amount、ビブラート、トレモロ、ワウ、PWM
8 演奏表現ベロシティ、キートラック、グライド
9 レイヤー2オシレーター、サブ、ノイズ
10 エフェクトドライブ、コーラス、ディレイ、リバーブ
11 音色をつくるベース、プラック、リード、パッド、最終総合ゲート
EX1〜4FM合成、シンク&リングモッド、シンセドラム、加算合成

カリキュラムの学習順序は、Sound On Sound誌の『Synth Secrets』と、Simon Cann『How To Make A Noise』の進め方を参考にしています。教材本文、図、実習、音源はすべてオリジナル制作で、原典からの転載はありません。

端末内で完結する

アカウント登録なし、広告なし、トラッキングなし、クラウド同期なし。学習進捗と設定は端末内に保存され、音声も端末内で生成されます。完全オフラインで動作します。

音量まわりには気を配りました。レゾナンスを上げる実習、ハードシンクの実習など、操作によっては急に音が大きくなる場面があります。出力段にリミッターを常時入れ、それでも最初は小さめの音量から始めていただくよう案内しています。細かな差を聴き分けるときは、適切な音量のヘッドフォンまたは有線イヤフォンを推奨します。

製品概要

項目内容
名称Synth Brain:シンセ音作りアプリ
提供開始2026年8月
対応OSiOS 17.0以降 / iPadOS 17.0以降 / macOS 14.0以降(Apple M1以降)/ visionOS 1.0以降
価格2,500円(買い切り・追加課金なし)
対応言語日本語・英語
カテゴリ教育
配信App Store
開発・提供株式会社Code and DESIGN

会社概要

項目内容
会社名株式会社Code and DESIGN(Code and DESIGN inc.)
代表者代表取締役 中島安彦
事業内容iOSアプリ・ゲーム・Webサービスの企画・開発・運営、受託開発
Webサイトhttps://code-and-design.jp/
App Store開発者ページ

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見えていたノブが、聴き分けられる知識に変わる。そこまでを一つのアプリで運べるように、Synth Brainを育てていきます。ご意見・ご要望はお問い合わせからお寄せください。

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